細かいことは気にしない！

　小林製薬は

　東京理科大学薬学部の磯濱 洋一郎 教授と共同で

　漢方薬の一種である、清肺湯 に

　気管支内の繊毛運動を促す効果があることを見いだした。

　モルモットを使った実験で

　気道の浄化に重要な粘液繊毛の輸送能を

　高めることが分かった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　化学工業日報より抜粋

　数年前の記事ですが、

　こういった記事がありました。

　清肺湯 というのは、

　字のごとく、『肺を清らかにする』漢方薬。

　西洋医学的な病名で言うと、

　慢性気管支炎、気管支拡張症、

　肺結核 などに使う漢方薬です。

　でもね、

　『慢性気管支炎だから清肺湯』

　こういう使い方をしているのは

　本当の漢方薬の使い方ではありません。

　なぜなら、

　慢性気管支炎を患っている人の 体質 も様々なら、

　気管支炎の 程度 や 状態 も人それぞれですから。

　本当の漢方薬の使い方を

　清肺湯を例に説明してみると、

　肺に熱がこもっていて

　潤っているのが健康なハズの肺が

　乾ききってしまっているような人に使います。

　そのせいで

　痰が絡んだ咳がたくさん出てきます。

　こういう状態を確かめて

　清肺湯を使うのが本当の漢方薬の使い方。

　西洋医学では、

　痰がたくさん出ているから痰切りを。

　気管支が炎症を起こしているから炎症止めを。

　といった風に

　症状や病名に対して

　薬を処方していきますが、

　東洋医学では、

　これこれこういう理由で病んでいて、

　それで気管支炎のような症状が出ているし、

　痰の絡んだ咳も出ている。

　だったら、

　いちばん適したのが清肺湯ですね。

　こういう具合に

　病気のメカニズム を診断して、

　その原因を元から正していくための薬を選ぶのです。

　ですから、

　同じ名前の漢方薬を

　似ても似つかないような病気に使うこともあります。

　たとえば、葛根湯。

　一般的には、

　カゼに使うと思われていますが

　肩こりとか高血圧とかに使うこともあります。

　それは

　病気になっている

　根っこのメカニズム が同じだからなんです。

　こんなふうに

　東洋医学と西洋医学は

　考え方が根本から違うものです。

　だから、

　漢方薬を活かすためには

　漢方薬用の考え方をしないといけない。

　西洋医学的な考え方で

　安易に漢方薬を使っていると

　かえって症状を悪くしてしまうこともあります。

　それで、

　漢方薬で大きな副作用を

　出してしまったこともあります･･･

　今回の実験のように

　その作用部位だけを見ていたのでは

　ダメ なんです。

　病気のメカニズムを考えて

　大元の原因を診断することで、

　東洋医学が活きてくるのです。

　それと同時に

　忘れてはいけないのは、

　西洋医学的な考え方も

　また大切だということです。

　これはこれで大切なこと。

　西洋医学には

　西洋医学の強みがあり、得意分野がある。

　東洋医学には

　東洋医学の強みが有り、得意分野がある。

　その両方を

　上手に使い分けられれば

　何よりもあなたの利益になると思うのです。

　そのためにも

　まだまだ精進を続けて

　少しでもお役に立てるようにしていかんとな･･･